人は正しいことよりも楽しいこと、たやすいことに関心が向かう。孤独と不安の時代なので共感されるとすごくうれしく感じる人は多い。感情の花火をどんどん打ち上げて、恐怖と怒りをたきつける。そんな人に操られてはいけないことを心しておくべきだ。
自分と同じ意見以外ははねつける対決ではなく、シンパシー(同情)やエンパシー(共感)を超えた「コンパッション(人類的な共感力)」が求められる。
コミュ力では高市氏か
一方、日本の政治家はどうか──。9月17日にスタートした自民党総裁選に出馬した4候補者のコミュニケーション力を、同日に同党が実施した「所見発表演説会」のスピーチを基に評価してみた。
まず、その巧者ぶりが目立つのは高市早苗氏。エモーション(感情)とロジック(論理)を上手に操り、論旨も明快だ。河野太郎氏は堂々としたデリバリー(ボディーランゲージなど)だが、メッセージが弱く、言葉足らずな側面がある。岸田文雄氏は前回の総裁選よりも随分と練習を重ね、話す力を鍛えた印象だが、主張には力強さに欠ける部分もある。野田聖子氏はまだまだ、準備不足が否めない。
ある大手紙の調査では、次の自民党総裁に求める資質として「説明力」が筆頭に挙げられていた。コロナ禍の不安な時代には、国民にきちんと向き合い、納得のいく対話ができるリーダーが切望されるということだろう。
最後に、最も短いスピーチである「自己紹介」についてだが、その機会は結構多いはず。ポイントは、自分にとってのオンリーワンとナンバーワン、相手にとってのベネフィットワンを話すこと。自分の強みをこういった視点で発掘しておくべきだ。仕事内容についても所属名をただ話すのではなく、何の仕事をやっているのかを一言でわかるように伝える。記憶に残るフレーズは13文字といわれる。自分の強みを一言で言えるように事前に整理しておくべきだ。
(構成 鈴木雅幸)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら