有料会員限定

イタリア女子が惚れ込んだ 日本語のすばらしさ! 寄稿|日本語への熱き想い

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

来日して16年。どんなにフラれても、キラキラと輝く日本語に魅せられて…。

(yoshihiro52 / PIXTA)

特集「無敵の文章術」の他の記事を読む

深い情感が伝わる一言
​色とりどりの情景描写

ローマ帝国時代に一世を風靡した雄弁家キケロ(紀元前106─紀元前43年)の著作は、長らくヨーロッパにおいてラテン語散文の手本とされてきた。

観衆を熱狂させた数々の演説はとくにすばらしいものばかりだが、キケロはその原稿を書いたり、暗記したりするときに、なじみのある「場所」を思い浮かべて、地図をなぞるようにおのおのの部分を推敲していたそうだ。

だからなのか、彼が書き残した名文を読んでいると、その熱い言葉に誘導され、小さな旅に出かけたかのような錯覚に陥る。文章の力だけで、しっかりとした道筋が目の前に現れ、そしてローマの風景が鮮明に広がる。その説得力と臨場感は本当にすごいものだ。

ジャーニーやストーリーテリングといった言葉を、さまざまな文脈において耳にするようになった昨今だが、キケロがはるか昔に教えてくれたとおり、文章を書くというのは読者を旅に誘う行為によく似ている。そこには単語や文節の数だけ異なったいくつもの旅路があるのだ。

関連記事
トピックボードAD