なぜUSJは値上げを毎年続けられるのか 今年は過去最高の入場者数を達成する勢い

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3月には「ユニバーサル・ワンダーランド」エリアのリニューアルも予定する。ここはセサミストリートやスヌーピー、ハローキティなどのキャラクターを中心としたエリアで、新規の乗り物アトラクションを導入するほか、ストリートショーなどを拡充するという。クールジャパンはやや大人向けだが、同エリアの刷新でファミリー層の取り込みを一段と強化する。

一連の新イベントやリニューアルもあって、値上げを支える仕掛けは例年に比べて手厚い。ハリポタ人気も依然高く、今の勢いからすれば値上げによる大きな客離れは起きそうもない。追い風もある。海外からの入場者の急増だ。ハリー・ポッターの新エリア開業以降、USJでは日本入場者の伸び以上に、外国人の伸びが目立っているという。外国客比率は5%前後と言われるが、直近では円安を受けて、その割合が高まっている。

海外のテーマパークと比較すれば割安という点も大きい。たとえば、USJのおよそ半分の規模のユニバーサル・スタジオ・シンガポールの1日券は74シンガポールドル(日本円で約7050円)とほぼ同額だ。香港ディズニーランドは499香港ドル(日本円で約7650円)。米ハリウッドのユニバーサル・スタジオは92ドル、ディズニーワールドは94ドルで、日本よりもかなり高い。値上げで国内入場者の伸びが鈍ることがあっても、海外客の底上げ効果が期待できそうだ。

値上げは業界全体に波及するか?

オリエンタルランドは”閑散期”の冬でも、「アナ雪」のイベント「アナとエルサのフローズンファンタジー」で盛り上げる ©disney

USJの値上げで、国内の主要なテーマパーク・遊園地では初めて、1日フリーパスが7000円を超える。今後の注目は、値上げが業界全体に波及するかだ。「値上げしたいが、業界トップの1日券の値上げが決まってから」(レジャー施設関係者)と言われるように、やはり”プライスリーダー”としてカギを握るのは、オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾート(TDR)となりそうだ。

2014年4月、TDRは1デーパスポートを6200円から6400円に値上げしたが、これは消費増税に伴う対応。9月に18時以降の入園となるアフター6パスポートを500円値上げしたものの、中核の券種である1デーパスポートの実質値上げは2011年以降行っていない。

オリエンタルランドは今後10年で、TDRに5000億円もの巨額投資を計画しており、施設や設備などの拡充に伴う値上げは予想される。2000年以降、5年前後で1デーパスポートの値上げが行われてきたが、今年で前回値上げから4年が経過した。業界内では”待望”の値上げが近いと見る向きが少なくない。果たして、注目を集めるテーマパークの王者は動くのか。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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