倒産件数が激増したホテル。旅行業界は自主廃業で諦めモードだ。
「ギリギリまで売却は考えたくなかった。今日の決定を胸に刻み、一生忘れないでやっていく」。藤田観光の野﨑浩之取締役は絞り出すようにそう語った。
2月12日、「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光は老舗宴会場「太閤園」(大阪市)を売却すると発表した。宴会の激減やホテルの大幅な稼働率低下が響き、2020年末の純資産は13億円と債務超過寸前まで毀損していた。
太閤園は藤田財閥の創始者・藤田伝三郎氏の邸宅がルーツで、100年以上の歴史を誇る。昨年の夏前から事業会社や取引先を含め資本増強策に奔走してきたが、当初、売却の予定はなかったという。
しかし、コロナ第3波は予想外だった。「必要と見込まれる額が第3波で増え、支援を表明していた会社も判断が難しくなってしまい、最終的に売却になってしまった」(野﨑取締役)。
「京都ホテルオークラ」を運営する京都ホテルも業績悪化で債務超過寸前まで財務を傷め、高級料亭「粟田山荘」(京都市)の売却に踏み切っている。
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