「夢物語のような事業計画を示して融資を依頼してきたので、さすがにこれは無理でしょうと言って押し返した」
あるメガバンクの幹部は、ANAホールディングス(HD)が昨年、融資の依頼をしてきた際のことをこう明かす。銀行側が怒ったのは、ANAHDの提示した計画が、新型コロナウイルスが早期に沈静化して航空需要が回復、業績もV字回復するというばら色のものだったからだ。
銀行の厳しい姿勢に慌てたANAHDは、大規模なリストラ策を立てて銀行側に説明、ギリギリのところで融資を受けることができたという。
こうした経緯で、ANAHDは2020年4月から12月までに9350億円を借り入れ、融資枠も確保。公募増資でも約3000億円を調達し、資金繰りは盤石だ。
その結果、12月時点での有利子負債は1兆6885億円(前期末比8457億円増)まで膨らんでいるが、自己資本比率は31.9%に踏みとどまっており、「調達した資金を設備投資に回せる大手の余裕はうらやましい限り」(中堅航空会社幹部)と言わしめる健全財務だ。
連続赤字回避が“必須”
だが、これで安泰とはいいがたい。2つの“時限爆弾”を抱えているからだ。その1つが21年4月から適用される「収益認識基準」。未使用マイルの扱いが変わり、新たに「契約負債」が計上されるというものだ。
20年度から一足早く取り入れたJAL(日本航空)は、「約900億円の負債を計上し、自己資本比率が8%ほど悪化した」(JAL財務担当者)。事業規模の大きいANAHDの影響額はJALの1.5倍といわれ、自己資本比率の大幅な悪化は避けられない。
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