ファッション需要が急減。紳士服やアパレル企業は苦難が続く。
20〜30代女性を対象にする都内のアパレル企業には昨年春以降、銀行からM&A(合併・買収)の紹介がいくつも持ち込まれるようになった。中身は赤字の同業他社の事業譲渡の話ばかり。案件を持ち込まれたアパレル企業の幹部は、「商材拡大や海外進出の足がかりとなる異業種ならまだしも、市場の先行きを考えるとアパレルブランドを買う気には到底なれない」と自嘲気味に話す。
新型コロナの影響で大半のアパレル企業の2020年度決算は、大幅な減収減益に陥った。外出の機会が減り、ファッション性の高い衣料やビジネスウェアの需要は激減した。
長らく経営不振にあえいできた百貨店アパレルの名門・レナウンは、緊急事態宣言下で売り上げの急減がとどめとなり、昨年5月に民事再生法の適用を申請。「ダーバン」など一部の主力ブランドは売り場を大幅に縮小したうえで事業売却できたものの、会社全体のスポンサーは現れず、昨年末に破産手続きへと移行した。
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