欧州委員会、各国政府、民間企業が三位一体で水素利用に舵を切る。
「欧州復興基金は、最大のインパクトがある先導的プロジェクトに投資する必要がある。水素、建物改修、充電設備整備である」。2020年9月、欧州連合(EU)の行政執行機関・欧州委員会のフォンデアライエン委員長は施政方針演説でこう表明した。欧州委員長の施政方針で、水素の利活用が明確に言及されたのはこれが最初である。
欧州の水素展開の節目となったのは、フォンデアライエン発言の2年前の18年11月に欧州委員会が発表した「気候中立経済のための戦略的長期ビジョン」である。同ビジョンでは、50年に温室効果ガスを80~95%削減するためのシナリオを示している。
見通しによると、①脱炭素に向けて再生可能エネルギーの利用が今後拡大するものの、太陽光発電や風力発電は条件によって発電量が左右される。時に過剰となる電力で水を電気分解して水素を製造し、電力を意図的に消費して需給を調整する必要がある、②製造した水素は電力には戻さず、運輸といった産業の動力源として活用することで、多方面の温室効果ガスを削減できる、ということが明らかになった。つまりパリ協定の「50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロに」という脱炭素化への道筋には、水素が必須との結論が出たのである。
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