“切り札”の水素還元製鉄は確立しておらず、欧州勢に比べて条件も日本メーカーには不利。
昨年10月26日の菅義偉首相の「2050年のカーボンニュートラル」宣言を受けて、産業界・企業の対応が問われている。中でも注目を集めるのが、日本の二酸化炭素(CO2)排出量の14%を占める鉄鋼業だ。
国内2位のJFEホールディングスが昨年9月末、「30年度のCO2排出量の20%以上削減(13年度比)と50年以降のできるだけ早い時期でのカーボンニュートラル」という目標を公表。国内最大手の日本製鉄がどんな数値目標を示すかが焦点となっている。
というのも、鉄鋼業のカーボンニュートラル実現のメドはまったく立っていないからだ。「50年にカーボンニュートラルを実現します」と軽々しくは言えない。といって政府方針に反する目標は出しにくい。「日鉄は菅首相の宣言前に目標を出しておくべきだった」と業界関係者は感想を漏らす。
日本製鉄で環境問題を担当する鈴木英夫常務は「3月に30年の目標と50年のビジョンを示す」と語る。あえて50年を「ビジョン」としたところがポイントで、間違っても「公約」とは取られないような表現になるはずだ。
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