有料会員限定

ゼロ炭素鉄への高すぎる壁 鉄鋼|日本の鉄鋼業は生き残れるか

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
拡大
縮小

“切り札”の水素還元製鉄は確立しておらず、欧州勢に比べて条件も日本メーカーには不利。

鉄を造る高炉から大量のCO2が排出される(写真:日本製鉄)

特集「脱炭素サバイバル」の他の記事を読む

昨年10月26日の菅義偉首相の「2050年のカーボンニュートラル」宣言を受けて、産業界・企業の対応が問われている。中でも注目を集めるのが、日本の二酸化炭素(CO2)排出量の14%を占める鉄鋼業だ。

国内2位のJFEホールディングスが昨年9月末、「30年度のCO2排出量の20%以上削減(13年度比)と50年以降のできるだけ早い時期でのカーボンニュートラル」という目標を公表。国内最大手の日本製鉄がどんな数値目標を示すかが焦点となっている。

というのも、鉄鋼業のカーボンニュートラル実現のメドはまったく立っていないからだ。「50年にカーボンニュートラルを実現します」と軽々しくは言えない。といって政府方針に反する目標は出しにくい。「日鉄は菅首相の宣言前に目標を出しておくべきだった」と業界関係者は感想を漏らす。

日本製鉄で環境問題を担当する鈴木英夫常務は「3月に30年の目標と50年のビジョンを示す」と語る。あえて50年を「ビジョン」としたところがポイントで、間違っても「公約」とは取られないような表現になるはずだ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
脱炭素サバイバル
脱炭素で伸びる会社はどこか
重工業|大黒柱の火力発電に強烈な逆風
商社|再エネ、水素事業に熱視線
インタビュー/三菱商事 電力ソリューショングループ CEO 中西勝也
鉄鋼|日本の鉄鋼業は生き残れるか
脱炭素戦略の勝算|JERA 社長 小野田 聡
脱炭素戦略の勝算|東京ガス 社長 内田高史
自動車|アップル・バイドゥも参入へ
自動車|基幹部品の外販とトラックが鍵
Part2 日本企業は変われるか|日本の強み・HVに「座礁資産」化のおそれ
脱炭素へ2兆ドルの巨額投資
2060年より前に実質ゼロへ
グリーン戦略の鍵は「水素」
「脱炭素」投資家の選択基準|GPIF
「脱炭素」 投資家の選択基準|ブラックロック
グリーンマネー3000兆円の奔流
2050年脱炭素戦略を問う|経済産業相 梶山弘志
基礎研究、用途開発とも課題山積
Part1 脱炭素で変わる世界|舵を切った日本、「独自モデル」は通用するか
知っておきたい10のキーワード
脱炭素サバイバル
水素、EVめぐり大乱戦
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内