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台湾TSMCの深謀と勝算 米国新工場の見返りは何か

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米中摩擦の中心にいるTSMCは米国に接近し、荒波に耐える構えだ。

台湾南部・台南市の南部科学工業園区にあるTSMCの半導体工場(写真:TSMC)

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「台積電(台湾積体電路製造、TSMC)は台湾の安全保障の要だ」。台湾の蔡英文総統の側近はそう話す。9月18日、蔡総統は台湾を訪問していたクラック米国務次官との晩餐会にTSMCのカリスマ創業者、張忠謀氏を招いた。総統府関係者によると張氏の招待は蔡総統の希望だった。

米国にとっても台湾はこれまで以上に戦略的な重要性を持つようになった。その理由の1つがTSMCであることを同社も理解し、「駆け引き」に臨んでいる。

晩餐会の4カ月前の5月15日、米国が中国ファーウェイへの規制強化を発表した日に、TSMCは米国政府の誘いに応えた。米アリゾナ州での総額120億ドル(約1兆3000億円)に上る半導体工場の建設計画を発表した。

TSMCは半導体受託製造(ファウンドリー)分野で世界シェアの半分を占める最大企業だ。同社の株価は今夏に約50%上昇。半導体専業企業の時価総額では世界トップで投資家から期待を集める。

市場が注目する理由の1つは好調な業績にある。7月に発表した4~6月期の決算で純利益が1208億台湾ドル(約4400億円)と過去最高を更新。10月8日には9月の売上高が前年同月比25%増になったと発表した。

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