「富岳」の開発を率いた理化学研究所の松岡聡・計算科学研究センター長に、設計思想や今後の展望を聞いた。
──開発において最も重視したことは何ですか。
「アプリケーションファースト」のマシンにすることだ。企業や研究機関が使う(科学技術計算用の)アプリケーションを最高性能で動かすことを目指してきた。
そのために開発過程で取り組むべき9つの重点課題を設定。医療や創薬、災害予測、エネルギーシステムの効率運用、次世代材料の開発など幅広いものにしたうえ、重点課題以外でも自動運転などAI分野での活用を目指してきた。
これらの各分野にいる最前線の研究者を結集させて、共同開発してきた。今回は(単純な演算速度を競う)ランキングだけでなく、4冠を取れたことが大きい。幅広いアプリケーションで高い性能を示すのが大事だった。
──富岳の中核であるCPU「A64FX」は、計算速度が従来の米国製CPUの3倍という高い性能を誇ります。何がポイントでしょうか。
「京」は一般的な性能のCPUを超並列で使うことで演算を速くしていたが、富岳が多様なアプリケーションの要求に応えるには同じ方法では限界があった。だから各国で今開発が進む「エクサスケール」(毎秒100京回の演算が可能)のマシンが必要だった。それにはCPU単体の能力を上げなければならない。
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