半導体露光装置を製造するキヤノンとニコンが苦境に立たされている。2000年代までは日本のこの2社で合計約8割のシェアを占めてきたが、その後に激減。現在は蘭ASMLがシェア8割を握り、完全に逆転した。
ウェハーに回路を焼き付ける半導体露光装置は、光源から発する光の波長を短くすることで半導体の微細化を実現してきた。そんな中、ASMLは波長が非常に短い次世代のEUV露光装置を量産する唯一の企業だ。
EUV露光装置は細い線幅の回路を一度に焼き付けることができ、最先端のロジック半導体やDRAMの製造にまで使用されるようになっている。顧客にはファウンドリー大手の台湾TSMCや韓国サムスン電子などがおり、主要各社が1台100億円以上する高価なEUV露光装置の入荷を待っている状態だ。最先端の5ナノメートル以降の微細化の実現に欠かせない装置だからだ。
一方、ニコンは当時の牛田一雄社長が「EUVはコンコルド(超音速飛行を実現したが商業的に失敗した旅客機)。スジの悪い技術だ」と指摘。性能は高くてもコストがかかるEUVは普及しないとみて、開発競争から撤退した。キヤノンはASMLとは異なるアプローチで微細化を実現するべく「ナノインプリント」技術の開発を進めているが、需要は鈍い。
ASMLは半導体露光装置の製造を目的に蘭フィリップスとウェハー処理装置を祖業とする蘭ASMインターナショナルの共同出資により1984年に誕生。キヤノンとニコンが露光装置で席巻していた中で新参者だったが、ASMLは97年にいち早くEUVの研究に乗り出す。一時は光源出力の弱さを解決できず実用化が進まなかったが、06年に試作機を開発。17年ごろから本格的に生産を開始した。
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