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日の丸半導体が消えたわけ スバルの新世代「アイサイト」

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今や新車搭載が当たり前となりつつある先進運転支援システム(ADAS)。その先頭を走ってきたのがSUBARU(スバル)の代名詞ともいえる「アイサイト」だ。2008年の初代発売以来、進化を繰り返し、累計300万台を超える。

スバルはそのアイサイトで発売以来の大幅刷新となる新世代を発表。10月15日に発売した新型ステーションワゴン「レヴォーグ」から順次標準搭載していく。

スバルが10月15日に発売した新型「レヴォーグ」。先進運転支援システムの中核であるステレオカメラ(上)を含む新世代アイサイトを刷新した

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新世代で目指したのは“ぶつからないクルマ”の進化。とくに交差点での衝突回避機能と高速道路での運転支援機能の拡大だ。交差点では広角、高速では遠方を検知するという相反する機能を両立させる必要があり、これまでの延長線では解決が難しかった。

そのため、アイサイトの中核ともいえる前方監視用センサーであるステレオカメラをはじめ主要部品を初めて見直した。アイサイト黎明期から二人三脚でステレオカメラを開発してきた日立オートモティブシステムズ、さらにカメラで撮影した画像データを処理する半導体を供給するルネサスエレクトロニクスなど旧知の日系部品メーカーとの取引をやめた。

代わって新たにステレオカメラを供給するのはスウェーデンの自動車部品大手オートリブから分社化したヴィオニア、ステレオカメラに内蔵する半導体は米ザイリンクスだ。

アイサイトの開発を担当する先進安全設計部の関淳也主査は「理由は非常に単純。機能とコストのバランスを考えた結果だ。さまざまなサプライヤーを検討し、われわれの要求に合致したのがヴィオニアとザイリンクスだ」と話す。

さらにCMOSイメージセンサーには米オン・セミコンダクターを採用し、画素数を従来の約120万から約230万に拡大するなどして約2倍の検知角度を実現。これまでのアイサイトではできなかった自転車や歩行者の横断の検知、右折時対向車との衝突回避も可能だ。

もっともこうした性能向上は日立オートやルネサスなどの組み合わせでも実現可能だと思うが、やはりコスト面での折り合いがつかなかったことが大きいと筆者はみている。

ヴィオニアはADASでは世界トップレベルの実績を持つサプライヤーで、さまざまな自動車メーカーに納入を行っている。これに対して、日立オートはいすゞ自動車やスズキの一部車種への採用が新たに決まったが、基本はスバル中心だった。その差がコスト面に出たことは否めない。

コスト減効果大きく

アイサイトは今回から全グレードへの標準装備になったため、単体価格は不明だが、3D高精度地図データなどを採用した「アイサイトX」搭載モデルはプラス35万円(税別)だ。これには純正ナビゲーションとフル液晶メーターも含まれており、それらを差し引くと10万円+αだろう。他社の同種システムの価格を考えると、正直バーゲンプライスといっていい。

新型レヴォーグの開発コンセプトは「継承と超革新」でアイサイトも同じだ。過去を継承しながら革新した結果だが、長年ともに歩んだ日系メーカーは複雑な思いだろう。

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