5GやAIなどハイテク分野での米中対立では半導体産業の盛衰がカギを握る。
新型コロナ、香港、ウイグル、南シナ海──。米中間には多岐にわたる懸案が横たわっている。これらの米中の政治的な対立が最終的に両国の経済をデカップリングするとの懸念が高まっており、その事態は目前に迫っている。問題の核心はテクノロジーの覇権争いで、5Gなどのハイテク分野を支える最先端半導体をめぐる攻防が主戦場となっている。
2015年、中国政府は半導体の自給率引き上げなどを掲げた産業政策「中国製造2025」を発表。それから米国は中国のハイテク産業への規制を強化してきた。
オバマ政権時代の16年3月に中国の通信機器大手・中興通訊(ZTE)に輸出規制措置を発動。同年12月には中国ファンドによる独半導体製造装置会社アイクストロンの在米子会社の買収を阻止した。トランプ政権になってからもZTEへの追加規制や中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への規制本格化などが続いた。
米国が「中国製造2025」を警戒するそもそもの原因は習近平政権が進める「軍民融合戦略」と「智能化戦争」にある。前者は民間企業を含めた経済社会と軍事戦略を結び付けることで、後者はAIを活用することで米国との戦力差を縮めようとする試みだ。それぞれに「中国製造2025」が関係している、と米国は見なしている。米国の政官界では対中強硬策がコンセンサスだ。
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