ノジマの決断の背景には、したたかな戦略があった。

ノジマ横浜東寺尾店の様子(撮影:今井康一)
すべての従業員が80歳まで働けるようにする──。家電量販店のノジマは今年、本人が望めば80歳まで働けるようにすると発表した。もともとパート・アルバイトだった従業員をはじめ、正社員で65歳定年を迎えた人でも、嘱託やパート・アルバイトという形態で80歳まで働き続けることを可能とした。勤務形態や給与は個別に話し合って決める。
もちろん無条件ではない。同社には、上司や部下、他部署の人間などありとあらゆる角度から仕事ぶりが評価される「360度評価システム」が存在する。接客態度が著しく悪かったり、良識に反した行動を取り続けたりするようなスタッフはおのずと周囲の評価が下がり、雇用継続は難しくなる仕組みだ。
とはいえ、全従業員が80歳まで働けるという宣言は上場企業で初めて。そこにはオフィシャルな3つの理由と、隠された1つの戦略がある。
「65歳」は働き盛り
理由の1つは現実との齟齬(そご)だ。野島廣司社長は「65歳で引退というのは、この時代の現状に合っていない。(判断は)遅すぎたかもしれないと思っているぐらいだ」と決断の背景を語る。
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