定年を機に起業するシニアたちは、それぞれどんな道を歩んでいるのか。
ドローン導入支援
長く働き続けるうえでは、会社から離れて起業することも選択肢となる。しかし起業には元手が必要で、失敗して老後資金を失うリスクもある。そこで重要なのが「ビジネス選び」。土地勘のないビジネスに挑むのはリスクが高い。そう判断し、過去の経験に新たなノウハウを組み合わせたのが、金子信洋さん(60)だ。
30年以上勤めたIT企業を早期退職し、2018年に企業向けのドローン導入支援を手がけるドローン・アイティーを設立(法人化は19年)。ゴルフ場の芝の状況を確認し、農薬を散布したり、工務店向けに建物の壁面の点検をしたりと、遠赤外線カメラやAI(人工知能)を用いた画像解析ソフトなどを組み合わせた活用法を提案する。
前職では主に企業の基幹システム構築を手がけた。退職前に新規事業の開発に関わった際、ドローンの可能性に着目。「ITを組み合わせたソリューション提供なら、経験を生かせる」と考えた。
ドローンの操縦技術や基礎知識は、JUIDA(日本UAS産業振興協議会)が運営するスクールに通って習得。事業を立ち上げると同時に、企業のドローン管理者を育てるJUIDA認定スクールも開校した。スクール運営については、前職の先輩に相談して協力を得ている。「当初は1人で運営する予定だったが、限界がある。得意な人の力を借りたほうがいい」(金子さん)と語る。
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