高齢期の就労促進が盛んとなる社会経済的な背景を読み解く。
「定年消滅」の流れは、社会の変化やマクロ経済の観点から見ても必然といえるものだ。それを踏まえたうえで、個々人がライフスタイルや働き方をどう見直していくかが問われている。
定年消滅時代が始まる要因は、大きく3つある。1つ目は、長寿命化という生物学的な要因だ。現在の高齢化社会は少子化と長寿命化の2つに要因分解できるが、言うまでもなく少子化はわれわれが克服すべき課題だ。一方、健康寿命の延びを伴う長寿命化は喜ばしいことで、図表1上のように約20年前に比べ、日本の高齢者の体力は5歳以上若返っている。
健康寿命が延びたならその分、就労を軸とした現役時代が延びるのは自然なことだ。人類は資本主義が始まるはるか前から、就労期の人たちが幼少期と高齢期の人を扶養する形で社会を維持してきた。核家族化など社会の変化に伴い、私的扶養から年金、医療など社会保険や税を財源とする公的扶養に軸足を移したが、基本的な構造に変わりはない(図表1中)。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら