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工事ストップで正念場に、リニア問題 決着への道 Part2|大揺れの鉄道

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静岡県が工事を認めず、暗礁に乗り上げたリニア。はたして解決策はあるのか。

リニア車両「L0系」改良型試験車と、挟んで静岡県の川勝知事(左)、JR東海の金子社長(右)(撮影:尾形文繁、今井康一)

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週刊東洋経済 2020年10/3号
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山梨県内にあるリニア中央新幹線の実験線では、今年3月に完成したJR東海のリニア車両「L0(エルゼロ)系」改良型試験車の走行試験が繰り返し行われている。8月19日には営業最高速度を上回る時速550キロメートルでの走行試験も無事終えた。

これまでの車両との違いは外観からも一目瞭然。リニアは無人運転なので運転席はないが、今回の車両は前方確認用カメラや前照灯の位置を上部に移し、運転席があるように見える。先頭形状は緩やかなカーブを描き、空気抵抗が減少した。車内では、従来車両で指摘されていた「耳ツン」問題への対策など、乗り心地の改善に向けてチューニングを行っているという。

遅れは静岡のせい?

リニアは2027年に品川─名古屋間が先行開業し、37年に品川─新大阪間を全線開業させる計画。全線の大半でトンネル内を走る。開業に向け走行試験は順調に続いているが、肝心なトンネル工事が暗礁に乗り上げたままだ。14年に国が認可してから6年経ち、東京、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知の各工区では工事のつち音が響くというのに、県の北端を11キロメートル通過するだけの静岡工区のみが本格着工できていない。リニアは国の認可事業だが、大井川の真下を通るトンネルの工事は、大井川上流部を管理する県の許可が必要だ。JR東海の金子慎社長は、「工程はたいへん切迫しており、準備工事だけでも6月中に先に始めたい」と川勝平太静岡県知事を訪ねて懇願したが、徒労に終わった。金子社長は「27年に開業できないと決めたわけではない」と説明するが、このままでは延期となる公算が大きい。

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