2016年4月の熊本地震の影響で一部区間が長期の不通となったJR豊肥本線が8月8日、全線で運転を再開した。10月には国道57号も復旧工事が完了して開通し、九州を代表する観光地である阿蘇エリアへのアクセスが格段に改善することになる。
豊肥本線は熊本と大分を結ぶ148キロメートルの路線。とくに地震の被害が大きかったのが肥後大津─阿蘇の27キロメートルで、列車の進行方向を2回転換して山の斜面を上る「立野のスイッチバック」や外輪山に囲まれた緑豊かな田園風景が観光客に人気だった区間だ。
熊本地震とその後の大雨で線路やトンネル、駅など約50の鉄道施設が被災した。復旧に時間を要することになった原因が、沿線の複数箇所で発生した山崩れだ。落橋した阿蘇大橋の付近では山の斜面が長さ700メートル、幅200メートルにわたって崩壊。並行する国道57号とともに大量の土砂に埋もれた。
豊肥本線の復旧は国や県、JR九州の連携により進められた。熊本県は治山・砂防工事を17カ所で実施した。被害が甚大だった阿蘇大橋地区については国が直轄事業として着手。まず14台の無人機を遠隔操作して土留めなどの2次災害対策を取り、工事車両が入れるようになると、国道部分を鉄道復旧用のヤードに活用した。斜面対策の総工費は国直轄部分だけで約93億円に上る。
JR九州は、現行ルートで復旧した理由について「高低差を克服するには従来と同じスイッチバック方式が必要と判断した」と説明する。再開まで実に4年4カ月を要したが、それでも国や県の支援があって想定以上に早期に実現できた面がある。費用面では、黒字会社でも赤字ローカル線であれば適用できる改正鉄道軌道整備法を活用。災害復旧費は50億円で、うち半分を国と県が折半して補助する。
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