有料会員限定

銀行は本当に変われるか エピローグ

印刷
A
A

「あんな時代はもう二度と経験したくないが、このままいけば数年後、悪夢がよみがえってしまうかもしれない」

温和で笑顔を絶やさない男性の表情が、このときだけは険しくなり、ため息をついたまま黙りこくってしまった。

この男性は1980年代後半に大手銀行に入行、営業はもちろん、融資、審査、企業再生など幅広い業務に当たった後、役員にまで昇進した人物だ。

入行当時は日本中が不動産投資ブームに沸き立ち、バブルのうたげに酔いしれていた。89年には日経平均株価が史上最高値の3万8915円をつけ、市中にはマネーがあふれていた。融資案件も容易に獲得でき、銀行マンとしてのスタートは順風満帆だったという。

特集「銀行 地殻変動」の他の記事を読む

過剰融資でバブルが発生

しかし、旧大蔵省の銀行局長が全国の金融機関に発した1通の通達で暗転する。

不動産融資総量規制──。異常ともいうべき投機熱を冷ますため、土地取引に流れる融資の伸びを抑える狙いがあった。

効果はてきめん、不動産向け融資の蛇口が閉められたことで、建設や不動産の取引が収縮。地価の下落が始まった。日銀による急激な金融引き締めも“劇薬”となり、バブル崩壊のきっかけを生む。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
平気で「おにぎり」を買う人が知らない超残念な真実
平気で「おにぎり」を買う人が知らない超残念な真実
三井物産、肝煎りの「ロシアLNG」で正念場
三井物産、肝煎りの「ロシアLNG」で正念場
ファミマと伊藤忠が狙う「セブン-イレブン1強体制」打破の勝算
ファミマと伊藤忠が狙う「セブン-イレブン1強体制」打破の勝算
工場が消える!脱炭素が迫る最後の選択
工場が消える!脱炭素が迫る最後の選択
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
銀行 地殻変動
エピローグ
インタビュー/SBIホールディングス社長 北尾吉孝
金融庁が“宗旨変え"で接近
強豪も動き始める
全上場銀行業績を予測
小売り・サービスに多額融資
独自試算 最新決算で浮き彫りに
融資膨張の先に待つ「不良債権地獄」の恐怖
Part3 アフターコロナに待ち受ける時限爆弾
政府出資は時限的が理想
メガバンクトップに聞く/みずほフィナンシャルグループ 社長 坂井辰史
メガバンクトップに聞く/三井住友フィナンシャルグループ 社長 太田 純
三菱UFJを初めて抜いた
店舗とATMの削減が加速
Part2 メガにも押し寄せる地殻変動
インタビュー/三菱UFJ銀行頭取・全国銀行協会会長 三毛兼承
苦しい事業者に付け込む
「地域価値向上会社」を目指す
インタビュー/山口フィナンシャルグループ会長 吉村 猛
「疑似資本」のローンで復活促す
インタビュー/横浜銀行 頭取 大矢恭好
地元企業を支える地銀の覚悟
資本性ローン提供に加え、商社の役割も
地元に根を張る中小・零細企業を救え!
融資合戦の陰で進む
Part1 コロナがもたらす銀行の変貌
銀行 地殻変動
融資膨張の先に待つ「不良債権地獄」の恐怖
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内