学校でのいじめの件数が近年著しく増加している。文部科学省が発表する統計を見ると、2018年度の高校までのいじめ件数は前年度に比べ約31%増の54.3万件。うち小学校は42.5万件と前年度比で34%も増えている。学校に子どもを預けるのが不安になる人もいるだろう。
だが実は、この数字はいじめの「発生件数」ではない。あくまで学校の教員が把握、報告した「認知件数」である点に注意が必要だ。
NPO法人ストップいじめ!ナビ事務局長の須永祐慈さんは「日本全体で本当はどれくらいいじめが起きているかを把握するには、先生ではなく全児童・生徒に調査を行う必要がある」と指摘する。現状そのような調査は行われていないが、参考になるデータはあるという。国立教育政策研究所が行ってきたサンプリング調査(いじめ追跡調査)だ。10年以上継続されているもので、「このデータを丁寧に見ていくと、いじめは急増も急減もしていないことがわかる」と須永さんは話す。
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