有料会員限定

「理想の教育」の実現度 Part2 苦悩する小学校|ゆとりの反動、学習指導要領〝盛り込みすぎ〟の歴史

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小

多忙な教員は、英語の教科化やプログラミング教育でさらに負担が増している。

(kou / PIXTA)

特集「小学校 子どもが幸せになる選び方」の他の記事を読む

筆者が教育の取材を始めた1990年代、小学校で「忙しくなった」という声をよく耳にした。そう言いながら多くの教員は、意欲的に授業改善に取り組んでいた。今でも中学・高校と比べて小学校には純粋に理想の教育を追究しようとする雰囲気が根強い。

それが、なぜ今や教員の3割が過労死ラインまで働かざるをえなくなったのか。振り返ると、学習指導要領の規定と運用の問題に行き着く。現実との狭間で苦悩を深めた30年間だったといえる。

指導要領は、時代の変化に対応して、ほぼ10年サイクルで改訂されてきた。下表は、各指導要領に対応した年間標準授業時数(学校教育法施行規則で規定)の変遷だ。

小学校の1時間(1コマ)の授業は45分で行われる(1単位時間と呼ぶ)。長期休暇などを除くと年間約35週にわたって授業が行われるから、授業時数を35で割れば週当たりのコマ数がわかる。1015時間なら週29コマだ。

週6日時代と同じ授業数

表より前の89年改訂の指導要領の総授業時数は高学年で1015時間だった。ただ土曜午前も授業があり、最大で週34コマ設定できた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
小学校 子どもが幸せになる選び方
1年以上前からの対策が不可欠
国立&私立
Part4 お受験最前線|高い学費を払ってでも行かせたい
先進教育か、統合による効率化か
運営者で異なる価格、時間、質
雰囲気は学区の所得でわかる?
学力、デジタル化度、進学率で見る
都心名門公立小の内実
Part3 選ばれる小学校|立地だけがブランド力の源泉ではない
インタビュー/全国連合小学校長会 会長、江東区立明治小学校 統括校長 喜名朝博
18年度は前年度比34%増
シニアボランティアが活躍
PTAからは批判の声も
仕事は増える一方なのに、なり手が不足
Part2 苦悩する小学校|ゆとりの反動、学習指導要領〝盛り込みすぎ〟の歴史
投資抑制が前提の改革論議
電子黒板、デジタル教科書、タブレット
小中学生全員に「4.5万円PC」
プログラミング、英語、アクティブ・ラーニング
Part1 変わる小学校|理念に踏み込んだ点が新しい
小学校 子どもが幸せになる選び方
学校を決める親の責任は重大だ!
前代未聞の事態に突入、コロナとの戦いは続く
小学校の現場で何が起きているのか
藤原和博氏「げた箱、トイレ、掲示物をよく見よう」
「よい学校」を見分けるポイント
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内