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教員の雇用と労働のリアル 仕事は増える一方なのに、なり手が不足

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複数の教科を教える、小学校教員。現場の実態や教員たちの本音を探った。

テスト採点や保護者対応など教員の仕事は盛りだくさんだ(時事)

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小学校教員の朝は早い。神奈川県内の教員、前田宏樹さん(30代・仮名)は午前7時にはバイクで出勤する。最寄り駅から学校まで徒歩10分なのに、なぜバイク? 「荷物が重いからですよ」と、前田さんは言う。

かばんの中にはクラス全員分のテストや宿題。重さは5キロ近い。子どもの名前が書かれた書類を持ち帰ることには不安もあるが、前田さんは「自宅での残業が前提になっている仕事量がおかしい。この大荷物がなければ、バイクなんて買っていません」と話す。

教室に着くと、テストの採点の続きや連絡帳のコメント書きに取りかかる。授業が始まれば、児童が下校する午後3時すぎまでトイレにはまず行けない。図工や家庭科は空き時間かと思いきや、その間は教務や防災、広報など「学校運営」に関わる事務仕事をこなす。

放課後は、けんかをした児童のフォローや欠席児童の保護者への連絡に追われるうちに職員会議が始まる。続いて研究授業に関する協議や学年会議。学級通信の作成や翌日の授業準備に手をつけられるのは、午後6時を過ぎてからだ。「退勤が夜8時、9時になるのはざら。自宅での残業もある」。

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