大量に飲むとトリップできる。悩みが吹き飛んで多幸感が得られる──。これは大麻や覚醒剤など違法薬物の話ではない。ドラッグストアで買える市販のせき止め薬や風邪薬のことだ。商品名をインターネットで検索すれば、こんな情報があふれている。
今、10代の間で、身近な市販薬の乱用が増えている。厚生労働省の調査によると、市販薬の乱用は全薬物乱用者のうちの5.2%(2016年)から5.9%(18年)と微増にとどまる。しかし、10代の薬物乱用の推移を示した下図を見てほしい。14年にゼロだった市販薬乱用は、18年には全体の約4割と最も多くなっている。
14年に多かった危険ドラッグの乱用者が男性中心なのに対し、市販薬は女性が7割を超える。使用している層が異なるため、危険ドラッグの乱用者が、市販薬に流れたという単純な構図ではない。若年層、しかも女性に多いのが市販薬乱用の特徴だ。
「危険だとは思わなかった」
薬物による依存症の回復を支援するNPO法人で働く大木由美子さん(41、仮名)も、10代の頃から市販薬乱用に苦しんだ一人だ。
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