規制だけでは解決できない、増える10代の市販薬乱用 せき止め薬や風邪薬、鎮痛薬に依存

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 最新
拡大
縮小
依存性のある市販薬はたくさんある(写真は本文と直接関係ありません)

特集「クスリ・医療」の他の記事を読む

大量に飲むとトリップできる。悩みが吹き飛んで多幸感が得られる──。これは大麻や覚醒剤など違法薬物の話ではない。ドラッグストアで買える市販のせき止め薬や風邪薬のことだ。商品名をインターネットで検索すれば、こんな情報があふれている。

今、10代の間で、身近な市販薬の乱用が増えている。厚生労働省の調査によると、市販薬の乱用は全薬物乱用者のうちの5.2%(2016年)から5.9%(18年)と微増にとどまる。しかし、10代の薬物乱用の推移を示した下図を見てほしい。14年にゼロだった市販薬乱用は、18年には全体の約4割と最も多くなっている。

14年に多かった危険ドラッグの乱用者が男性中心なのに対し、市販薬は女性が7割を超える。使用している層が異なるため、危険ドラッグの乱用者が、市販薬に流れたという単純な構図ではない。若年層、しかも女性に多いのが市販薬乱用の特徴だ。

「危険だとは思わなかった」

薬物による依存症の回復を支援するNPO法人で働く大木由美子さん(41、仮名)も、10代の頃から市販薬乱用に苦しんだ一人だ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
クスリ・医療
告発スクープ|湘南美容外科グループの“独自療法"
インタビュー/国立がん研究センターがん対策情報センター長 若尾文彦
“ステージ0"で発見する最新検査
Part3 がん治療・検査の闇|毎年検診を受けていても進行がん発見
理由なき4年間の強制入院、42歳女性が味わった地獄
ルポ|精神科病院の深い闇
インタビュー/東京都立松沢病院 院長 齋藤正彦
深刻化する担い手不足
病院再編めぐり地元大学医学部と県に亀裂
「無給医」問題でさらに加速
公的助成が病院に流れる
Part2 病院の裏側|糖尿病や白内障の入院は必要か
規制だけでは解決できない、増える10代の市販薬乱用
せき止め薬や風邪薬、鎮痛薬に依存
「薬害・廃人症候群」の恐怖
添付文書に重要な情報がない!
Part1 クスリの罠|糖尿病、高脂血症、高血圧……
国内で年間8000人が死亡
その医療、必要ですか
受けたくないムダな医療50
クスリ・医療
信じてはいけない
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内