「主人は、毎年欠かさず職場でバリウム検査を受けていました。がん検診はいったい何のためにあるんだろうと思います」
悲しみと静かな怒りを込めて、女性は胃がんで他界した夫のことを語った。40代の若さで、小学生の子供2人を残して亡くなる無念は、計り知れない。
命を守るはずのがん検診で、こうした悲劇が繰り返されている。
自治体や職場で実施される対策型検診で国が推奨するのは、肺、胃、大腸、乳房、子宮の5つ。その目的は、あくまで集団全体の死亡率減少である。だから、下表のように、死亡率減少の効果が高いとされるものが推奨される。
多人数を短時間で検査する必要があるので、早くて安い検査が検診の主流だ。しかし、これらは必ずしも精度の高い検査ではない。
例えば、肺がんや胃がん検診で推奨されるX線検査では、がんが2センチメートル前後の大きさにならないと、発見が難しいとされる。早期発見というには微妙な段階だ。
費用はX線検査よりもかかるが、CT(コンピューター断層撮影)や内視鏡検査は、1センチメートルより小さなサイズのがんも発見可能だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら