
人権救済申立書を提出後、集会に登壇した米田さん(左から2人目)(撮影:梅谷秀司)
「緊急の帝王切開で手術室に入り、出てきたときには卵管結紮(けっさつ)されていました。自分のまったく知らないところで不妊手術をされていたと聞いたときはショックでした」。1月30日、日本弁護士連合会に人権救済の申立書を提出した米田恵子さん(42)は、その心中を吐露した。
申し立ては旧優生保護法下での強制不妊手術の救済策が議論される一方、条項の削除後も、精神障害者などに不妊手術が行われている実態を告発するものだ。
米田さんはごく最近まで、精神科病院に長期入院していた。最後の子どもを分娩(ぶんべん)し不妊手術が実施されてから1年後の2016年2月に入院し、その後院内での生活はおよそ4年間にわたった。
日本では精神疾患により医療機関にかかっている患者数は400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は下図のとおり約28万人と高止まりを続けている。精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は17年時点)。だが、一般病床とは異なり、閉鎖病棟が多い精神病床の内実が表に出ることはまれだ。彼女はなぜ長期入院を余儀なくされ、そしてどのような生活を送っていたのだろうか。
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