「膵臓(すいぞう)がんの患者を診るのは、敗戦処理の投手」とある医師が言った。膵臓がんステージ4の5年生存率はわずか1.5%だ。
手の施しようがなかった膵臓がん治療に、いまブレークスルーが起きている。それは、「超音波内視鏡検査」によって微小な膵臓がんを早期発見する、新たな取り組みだ。
がん・感染症センター東京都立駒込病院。膵臓がん治療の第一人者・菊山正隆医師(消化器内科部長)の元に、海外の医師たちが超音波内視鏡検査の診断技術を学ぶために訪れている。
モニターを見ながら、菊山医師は超音波内視鏡を胃の先にある十二指腸まで入れていく。そして、別のモニターの画像を注視しながら、超音波のスイッチを入れる。すると、断層像の影が浮かび上がった。およそ20センチメートルの膵臓である。
菊山医師は、膵臓の中の5ミリメートルに満たない病変を超音波で探り当てた。そして穿刺針(せんししん)を差し込み、細胞を採取する。これが、いま確実に膵臓がんを早期診断する方法だという。
さらに、超音波内視鏡で膵臓の中心を通る膵管の変化を突き止めることで、早期のがんを診断できる。
「膵臓がんは、直径1ミリメートル程度の膵管の粘膜内に発生する。新たに開発された膵液の細胞診の手段で、がんであるか診断できる確率は約9割。膵管内にとどまっている“ステージ0”で発見できれば、外科手術で摘出して、100%に近い確率で完治できる」
膵臓がんのステージ1は、がんの大きさが「2センチメートル以下」の分類だ。その段階で発見しても、5年生存率は約40%しかない。進行が早く、肝臓などに転移しやすいからだ。
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