カネよりも「カープ愛」、40歳黒田投手の男気 年俸21億円を蹴って、古巣広島に4億で復帰

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メジャー移籍が注目された前田健太も今オフはポスティング・システム(入札制度)に利用を封印して残留決定。24年ぶりの優勝に向け、「恩返し」のタイミングはまさに「今でしょ」、だったのである。

凱旋エース合流、2015年は広島がセ・リーグの主役

前田健太と両輪となる戦力としてはもちろん、緒方孝市新監督が「選手たちのモチベーションも上がり、チームにとっていい相乗効果が生まれると思う」と話しているように、起爆剤としての存在感、ファンに与える期待感は計り知れない。フロントとしては黒田が以前つけていた背番号15を誰にも与えず、空けて待っていた甲斐があった。

ライバルとなる巨人はFAで金城龍彦(前DeNA)と相川亮二(前ヤクルト)を獲
得したが、いずれもレギュラーではない。先発を期待するマイルズ・マイコラス、アーロン・ポレダ(ともに前レンジャーズ)の新外国人2投手も未知数だ。

阪神は金子千尋(オリックスに残留)、成瀬善久(現ヤクルト)、中島裕之(現オリックス)のFA争奪戦にことごとく敗れ、メジャー移籍を目指してFA宣言した鳥谷敬の去就もまだ決まっていない。

風は明らかに西へ向かって吹いている。「カープ女子」に代表されるフレッシュなイメージに、メジャーの巨額オファーを蹴って古巣へ恩返しという「男気」が加わる来季の広島。日米通算200勝まであと18勝に迫る凱旋エースを中心に、セ・リーグの主役に躍り出る予感がする。

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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