ジョージ・ソロス ソロス・ファンド・マネジメント会長--ユーロを救うためにEUは何をすべきか

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銀行に自己資本を注入するのであれば、将来ではなく今すぐに行ったほうがいい。それも各国が独自に行うのではなく、欧州全体の銀行システムで行うほうが好ましい。それによって、欧州の規制体制を作り上げることができるだろう。銀行全体に対する規制は、財政政策の管理と比べれば、各国の主権を侵害する度合いは小さい。加えて、欧州全体での銀行管理のほうが、国別の銀行管理よりも政治的な影響を受けることも少ないはずだ。

二つ目の問題に関していえば、救済資金に対する金利は、EU自体が市場から調達できる金利の水準にまで引き下げるべきだ。そうすれば、ユーロ債券市場を発展させるという効果も期待できる。

この二つの処置だけでは、支援を必要としている国が苦境から脱出するには不十分かもしれない。もう一歩踏み込んで、国債の保有者に対する“ヘアカット率(担保の掛け目率)の引き下げ”のような追加的措置も必要かもしれない。適切に資本注入が行われれば、銀行は資本を吸収することができるだろう。そうすれば、EUの将来に暗い影を投げかけている二つの過ちは是正されるはずだ。

(週刊東洋経済2011年1月15日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

George Soros
1930年ハンガリー生まれ。ソロス・ファンド・マネジメントおよびオープン・ソサエティ財団会長。47年に英国へ移住し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業。56年に米国に移住、証券会社勤務を経て、投資会社を設立。莫大な資産を築く。

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