ジョージ・ソロス ソロス・ファンド・マネジメント会長--ユーロを救うためにEUは何をすべきか

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このギリシャ危機がユーロ危機の発端となった。現在、共通の財務省が存在しないことの問題点は修復されつつある。ギリシャ政府救済案の策定がその始まりだ。さらに一時的な措置として創設された緊急融資制度も、恒久化される見込みだ。

金融当局が犯した二つの過ち

ユーロの欠点はほかにもあるが、金融当局はそれを十分に理解していないように思える。当局は通貨危機だけでなく、銀行危機とマクロ経済理論の危機にも直面しているのだ。

当局は少なくとも二つの間違いを犯した。第一に、金融危機を誘発するのを恐れるあまり、納税者を犠牲にして破綻銀行の債券の保有者を保護した。これは政治的に受け入れられないことだ。今年の選挙で誕生するアイルランド新政権は、現在の取り決めを破棄せざるをえないだろう。マーケットはすでにそれを織り込み済みだ。それゆえに、アイルランド救済策は効果を発揮していないのである。

二つ目の過ちは、救済資金に高金利を課したことだ。これでは、弱小国は競争力を回復することができない。経済格差の拡大はまだ続いており、弱小国はさらに弱体化していくだろう。債権者と債務者の非難合戦が過熱し、ユーロ問題がEUの政治的・社会的団結を破壊する危険性もはらんでいる。

この二つの過ちは是正することができる。最初の過ちに関していえば、緊急資金は政府に対する資金供給と同時に、銀行システム全体の資本増強に使うべきである。銀行システムの資本増強のほうが政府の支援よりも効率的だ。銀行システムの資本を増強することで、財政赤字は縮小し、各国は再び資本市場で資金調達ができるようになるだろう。

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