ディーラーとして再出発 ヤナセの苦闘と原点回帰
「目指すのは質で世界ナンバーワンの輸入車ディーラー。現場は知恵を絞れ」--。全国の支店長を集めた営業会議で、ヤナセの西山俊太郎社長は檄を飛ばす。
輸入車販売で圧倒的な知名度を誇るヤナセ。全国250以上の拠点を持ち、12の輸入車ブランドを扱う。輸入車の販売シェアは15%弱と国内最大。国産車の大規模ディーラーと比べても遜色ない。
2010年9月期決算は4期ぶりの増収増益となった。とはいえ、この20年間、ヤナセは市場環境の地殻変動に対応できず、営業利益は赤字と黒字を行ったり来たり(下図)。何度も苦境に陥っていた。
過去の成長を支えたのは、海外の自動車メーカーと輸入契約を結び日本で独占販売するという、商社業と小売り業の二つを兼ねたビジネスモデルだった。
外資の日本法人設立で黄金時代が一気に終焉
ヤナセは、品質検査や仕様変更のため自社の整備施設で徹底的な納車前点検を実施してからディーラー網に配車、販売するスキームを構築。輸入車の質を高めると同時に、大衆車を扱わず高級車に絞ることで、輸入車=高級車というイメージを日本に定着させた。さまざまなメーカーの車を扱ったが、特に日本で浸透したのが独メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲン(VW)。