【産業天気図・空運業】国際線団体客の回復鈍く、燃油高騰でJALに逆風

空運業は当面、「晴れ時々くもり」といった空模様だ。
 前期はSARSを主因に国際線旅客数が前年度比19%減少し、国際線主体の日本航空(JAL)は純損失886億円で無配転落、全日本空輸(ANA)は国際線黒字化計画が未達に終わるなど大きな影響を受けた。今期はこれまでのところ、テロや疾病といった外的マイナス要因がなく、平常化している。ただ、国際線の団体旅客はビジネス主体の個人旅客に比べると回復が遅く、JALは通期で会社予想の前提となる国際線旅客数を減らす必要がありそうだ。ANAは前期から国際線の機材を中型化しエコノミークラスを絞っているので、大きなブレはない模様だ。
 一方、収益基盤の国内線は、比較的堅調な動きにある。前期に観光客で国際線から国内線への振り替えがあったこともあり、第1四半期の旅客数は2157万人と前年同期比弱含み。が、各社とも単価上昇政策を採っていることから収入面でマイナスということはない。気になるのはJAL。4月にJAS便をJAL便に名称統一して攻勢に出たはずが、逆にANAに巻き返され、旅客数で後塵を拝する状況となっている。ここでも会社想定は狂い気味だ。
 前期は国際線の需要が足を引っ張ったが、今期のリスク要因は燃油費。JAL、ANAとも今期の想定燃油価格は1バーレル=33~34ドル程度(シンガポールケロシンベース)だったが、期初から燃油は見る見る上昇、現在は50ドル台前半にある。JALは7月末に対応策を打ち出し、キャンペーン費用の先送りなど300億円のコスト削減を実施する。が、これは平均40ドル台半ばで推移した場合に見合う額で、現在の水準では追いつかない。現時点でもJALは営業利益810億円の旗を降ろしていないが、旅客数の伸び悩みもあり、会社四季報では600億円程度と見ている。一方のANAは、国内線主体のため燃料使用量がJALほどではないこと、ヘッジの比率がJALよりも高いことから、影響は小さくないものの、想定以上に旅客が増加していることもあり、会社予想営業益560億円を上回ると見ている。
 新規航空会社は、スカイマークエアラインズが大手との運賃優位を生かして初の通期黒字を達成する見込み。西久保社長が創業し会長を務めるIT企業ゼロを合併することで、財務体質も改善される。対照的にスカイネットアジアは経営破綻、産業再生機構での再建が決まった。両社とも、羽田発着枠の再配分を受け、新路線開設など生き残りを賭けた攻勢をかける。
 上場3社が黒字見通しとあって上記のとおり「晴れ時々くもり」としたものの、国際線はまだ9.11前の水準にはなく、燃油も予断を許さない。本当なら「くもり時々晴れ」としたいところだ。
【筒井幹雄記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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