株価乱高下は急落の予兆か、強気相場終了も NYダウ1万8030ドル、史上最高値更新

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 12月23日、最近の株式市場では「ブラックマンデー」などの株価急落前に見られたような乱高下が起きている。米株式市場の上昇局面は終わりに近づいている可能性がある。写真はウォールストリート・ブル(2014年 ロイター/Carlo Allegri)

[ロンドン 23日 ロイター] - 最近の株式市場では「ブラックマンデー」などの株価急落前に見られたような乱高下が起きている。過去最高値を更新している米株式市場の上昇局面は終わりに近づいている可能性がある。

原油相場の急落、ロシア経済の危機、米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利からの脱却見通しなどがこのところの株価乱高下の背景にある。

短期的な大幅上昇と急落の繰り返しは1987年10月のブラックマンデーや先の金融危機前の状況に似ている。

S&P総合500種指数<.SPX>は金融危機後の2009年3月につけた安値の666ポイントから3倍以上の水準にある。ダウ工業株30種指数<.DJI>は23日、第3・四半期の米国内総生産(GDP)が予想を上回ったことで初めて1万8000ドル台に乗せた。ダウは1週間で1000ドル上昇したことになる。

ニューエッジのシニアディレクターで米戦略部門を統括するラリー・マクドナルド氏によると、強気相場が終了し長期間の下落局面に入る前には株価が大きく動くことがあった。

同氏は「2007年の夏や1987年の夏などこうしたケースが何度もあった」と指摘「われわれのシステミックリスク指標は非常に高い水準にある。10%かそれ以上の急落が2週間から8週間後に迫っているとみている」と述べた。

ダウとS&P500は22日、過去最高値で引けた。S&P500が終値ベースで過去最高値を更新するのは今年50回目で、1995年に次ぐ多さだ。

またダウは18日に421ポイント上昇し、1日の上げ幅としては今年最大だった。17日と合わせた2日間の上昇幅は700ポイントを超え、史上6番目の大きさとなった。米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、利上げに関して忍耐強いアプローチを取るとの考えを表明したことが追い風となった。

これに先立つ12日までの週にはS&P500が8週間ぶりに下落に転じ、1週間の下げ幅は3.5%と2012年5月以来の大きさだった。

株価の乱高下は続く見込み

シティ・インデックスの世界戦略部門の責任者アシュラフ・ライディ氏は、過去のケースに照らし合わせると、ここ数週間の目まぐるしい株価の変動はこれから何が起きるかを示唆しているかもしれないと話す。

1995年から1999年にかけてと、2003年から2007年にかけてのS&P500の上昇局面が終わる前に、やはり大幅な調整が見られた。

ライディ氏によると、週間ベースで7週間連続で上昇したのはこれまでに9回あるが、2%以上下落して上昇記録が途切れたことは一度もなかったと指摘した。同氏は12日終了週にS&P500が3.5%の急落となったのは「強欲から恐怖への前例のない地合いの変化だ」との見方を示した。

ただ経済成長と中央銀行の緩和マネーが世界中で企業業績を下支えしている間は株価の上昇は続くとみられる。過去3カ月間に大きく下げた場面が2回あったが、すぐに値ごろ感から買いが入った。

しかし株価が上昇し賃金が上がり始めれば、株価水準を維持するには企業利益が拡大する必要がある。業績が伸びず利益率が圧迫されれば2015年は小幅な上昇にとどまる公算が大きい。

株式ストラテジストに対する直近のロイターの四半期調査によれば、2015年はS&P500が6%、ドイツの株価は9%、フランスは10%上昇する見通し。

強気相場が幕を閉じるかはまだ分からない。JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、デビッド・スタッブス氏は「ボラティリティーは金融市場の命だ。来年はもっと大きく動くとみている」と述べた上で、投資家は短期的な株価の振れを注視すべきだと指摘した。

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