「ヤマトショック」に端を発し、今もなお続いている物流危機。配送、荷主各社が出口を探っている。
「水道、電気、ガス、宅急便。」。1997年の正月にヤマト運輸は、こんな広告を打った。そこに込めたのは、宅急便を毎日使えて当たり前と思われるサービスにしたいという思いだ。
それから20年超。ヤマトの宅急便を含む宅配便全体の取扱個数は、年40億個を超える。97年当時と比べ約3倍の規模である。ヤマトは現在、佐川急便や日本郵便を抑え最大手として、半分近くのシェアを有する。宅急便は今や水道、電気、ガスと並ぶ“社会インフラ”になった。
社員の労働問題を発端にヤマトショックが発生
だが今、その社会インフラに重大なきしみが生じている。
「インフラを維持するために一度、運賃のベースを上げる。たいへん心苦しいが、ご理解を賜りたい」。ヤマト運輸の親会社・ヤマトホールディングス(HD)の山内雅喜社長は、2017年4月に開いた会見でそう語った。直前から観測は報じられていたが、この会見で初めて詳細が明らかになった。
その場で山内社長らは、社員の労働環境を改善するため宅急便の荷受け量を抑制すると発表。同時に、17年9月をメドに宅急便取扱量の約9割を占める法人向けの運賃値上げを求めていくほか、個人向け料金も消費増税時を除き27年ぶりに引き上げるとした。
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