受信料制度の見直しについて議論するうえで避けて通れないのが、NHKのそもそもの存在意義や放送法の解釈である。NHKをめぐる基礎知識を解説する。
Q1. そもそもNHKはなぜ存在するのか
放送法第15条では、NHKは「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」を放送する目的を達成するために設立される法人と定められている。「公共の福祉」という目的が、NHKが公共放送となったゆえんだ。
しかし、「公共の福祉」の概念はあいまいだ。災害報道など公共性がわかりやすいものはともかく、民放と同じような娯楽番組について、NHKがなぜ受信料で制作するのか。「公共の福祉」の目的にどう合致するのかをNHKに尋ねると、「人と人とを互いに“つなぐ”という公共的な機能に対する期待に応える」(広報)ことがいま求められているとし、「NHKだからこそできる放送で、文化水準の向上に貢献することが使命」(同)だとする。
NHKの元経営委員である早稲田大学法学部の上村達男教授は、「NHKの公共性については経営委員会でもまともな議論がされてこなかった。受信料の義務化を図るなら、まず公共性についての議論が不可欠」と語る。
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