10月末、米通信大手AT&Tは米メディア大手タイム・ワーナーを買収すると発表した。買収総額は約854億ドル(9兆円弱)。21世紀に入って最大規模のメディアの統合で、「世紀の買収」と称されても不思議ではない。世界のメディアは大規模な合従連衡に向かっているのだろうか。
AT&Tは携帯電話事業ではベライゾンに次いで米国第2位。映画部門ワーナー・ブラザース、ニュース専門局CNN、ケーブルテレビ局HBOなどのコンテンツ企業を持つタイム・ワーナーを買収する背景にはメディア環境の激変がある。「コングロマリット」と呼ばれる総合メディア企業が出版から新聞、テレビや映画まですべてを牛耳る時代は終わり、どんなコンテンツを、アナログ(紙、新聞、テレビなど)とデジタル(インターネットやスマートフォンアプリ)にどう流通させるかが重要になってきている。
メディアに近接する通信業界にとっても、これは対岸の火事ではない。大量のデータをやり取りできるスマホの普及によって、動画もテレビや映画館でなく通信端末で視聴される。
動画市場は無料で利用できるユーチューブに加え、おカネを払って上質な番組が見られるネットフリックス、Hulu、アマゾン・プライムなど、新たなプラットフォームが続々と出てきている。
コンテンツを囲い込む
ワーナー・ブラザースは映画を中心に過去の映像資産も豊富に保有している。これをアマゾンなど新興プラットフォームに販売すれば収益を生む。値下げ競争が激しい携帯電話事業だけでは先細り。だからこそAT&Tはコンテンツ獲得で起死回生を狙っているのだ。
この記事は有料会員限定です
残り 536文字
