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ビジネス #「再生医療立国」夢と現実

〈iPS細胞製品が保険適用〉日本が再生医療を「産業化」するために不可欠なこと/「ハートシート」の失敗から何を学ぶか

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保険収載される再生医療等製品が出てくる中で、問われるのはいかに社会実装するかだ(提供:パソナグループ)
  • 塚崎 朝子 ジャーナリスト/博士(医学)・慶応大学非常勤講師

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2012年、山中伸弥氏のノーベル生理学・医学賞受賞で、日本発のiPS細胞は一気に社会の注目を集めた。翌13年、政府は、iPS細胞を含む幹細胞・再生医学研究全体に10年間で約1100億円を投じる方針を打ち出した。iPS細胞などを用いた再生医療や創薬研究を、基礎から実用化へつなげる大型プロジェクトが始まった。

それから十数年――。26年3月、住友ファーマのパーキンソン病治療用製品「アムシェプリ」と、クオリプスの重症心不全を対象とする心筋細胞シート「リハート」が、iPS細胞由来の再生医療等製品として世界で初めて条件及び期限付き承認を受けた。アムシェプリは5月20日、リハートも9月1日に保険収載された。iPS細胞技術は、公的医療保険の中で患者に届ける段階に入りつつある。

日本は本当に「再生医療立国」ができるのか――。その成否は、ノーベル賞後の熱気や相次ぐ承認ではなく、研究成果を患者が受けられる医療に変え、安定して提供し続ける仕組みにできるかどうかにかかっている。

問われる再生医療の「実装力」

鍵を握るのは、承認後の実装力である。

再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)代表理事・会長で、ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)相談役の畠賢一郎氏は、iPS細胞製品の承認と保険収載を大きな節目と受け止める。ただし、「承認や保険収載されたことがゴールではなく、ここからがスタートだ」と語る。

再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)代表理事・会長で、ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)相談役の畠賢一郎氏は、iPS細胞製品の承認と保険収載を「ここからがスタート」と受け止める(写真:記者撮影)

FIRMは、再生医療研究の成果を安全かつ安定的に社会へ提供できる体制を構築し、産業化の道筋を示すことを目的に、11年に設立された業界団体である。26年9月1日時点で、企業・法人会員188社、個人会員14名を数える。

会員は、再生医療等製品を開発する製薬企業やバイオベンチャーだけではない。製造を担う開発製造受託機関(CDMO)、培地や試薬、培養容器、製造装置、検査機器、保管・輸送、品質管理、臨床開発支援など、再生医療を支える周辺産業の企業も加わっている。

再生医療は、製品を持つ企業だけで成り立つ産業ではない。こうした裾野の広い産業基盤があって、初めて製品は患者に届く。

畠氏は、再生医療等製品の中でも移植を伴うアムシェプリやリハートには従来の医薬品とは異なる難しさがあるとみる。

例えば、血液がんなどに使われる細胞療法には、患者の免疫細胞であるT細胞に、がん細胞を攻撃する働きを持たせ、体内に戻す治療がある。海外で実用化が進んだ再生医療等製品には、このように点滴などで投与する「医薬品ライク」なものが少なくない。

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