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ビジネス #富士フイルムの大決断

〈インタビュー〉富士フイルム社長が「業界再編に一石を投じた」と語る、旧富士ゼロックス分離の狙いと生存戦略

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看板事業の旧富士ゼロックスの分離を決めた後藤社長(撮影:梅谷修司)

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富士フイルムホールディングス(HD)が、大胆な事業ポートフォリオの再編に動き出した。
対象となるのは、長年にわたりグループを安定収益で支えてきたビジネスイノベーション(BI)事業だ。複合機や商業印刷機を手がけ、連結売上高の約3割を占める同事業のパーシャル・スピンオフ(分離・独立)を含む、戦略的選択肢の検討を始めた。
背景には、複合機や印刷業界の環境変化がある。ペーパーレス化が進み、世界の複合機出荷台数はコロナ禍前の2018年から3割以上減った。富士フイルムHDは19年に富士ゼロックスを完全子会社化することでBI事業を取り込み、グループ内でのシナジー創出を進めてきた。それから7年を経て、今度は一転してBI事業を連結子会社から外す道を選んだ。
一方、新たな成長の柱に掲げるバイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)事業には、累計1兆円超を投じて日米欧の世界4拠点にて急ピッチで製造設備を立ち上げてきた。30年度に部門売上高7000億円、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)マージン40%という高い水準を狙っていたものの、足元は赤字で推移する。収益化の時期が2年ほど後ろ倒しとなっている。
なぜ今、安定して利益を生み出すBI事業の分離・独立を進めるのか。後藤禎一社長に、ポートフォリオ再編の狙いと決断の背景を聞いた。

「今しかない」タイミング

――19年にBI事業の旧富士ゼロックスを完全子会社化して、7年が経ちました。このタイミングで、売上高1兆円規模のBI事業を連結から外す検討を始めたのはなぜですか。

4年後のBI事業、さらにその先を見据えたとき、世界の印刷枚数が今後増えるということはまずない、毎年約3%ずつ確実に減っていく。コロナ禍前と今では、オフィスや商売のあり方も変わってしまった。複合機を売るだけのビジネスモデルには限界があり、業界各社は今、ITやAIを駆使したソリューション領域へ一斉にシフトしている。当社も同じ方向を目指している。

後藤禎一(ごとう・ていいち)/1959年富山県生まれ。83年関西学院大学社会学部卒業後、富士写真フイルム(現・富士フイルムホールディングス)に入社。2013年メディカルシステム事業部長、18年取締役、20年取締役専務執行役員。21年から現職(撮影:梅谷修司)

ここから先、業界内ではさまざまな合併・統合・協業といった再編の波が起きる。この波に乗り遅れず、むしろ主導権を握りに行くためにはどうすればいいのか。最も身軽にスピード感を持って動ける形を考えた結果、行き着いたのが今回の検討だ。

スピンオフによって独立すれば、BI事業はより迅速に自律的な意思決定ができるようになる。これまで、重要な判断については持ち株会社の取締役会を通す必要があり、現場との間にどうしてもワンクッションが生じていた。

BI事業は今期800億円規模の営業利益を目指しており、まだ十分にキャッシュを稼ぎ出せている。「体力があるうち」に手を打つ。タイミングとしては、今がまさにベストだと考えている。

――パーシャル・スピンオフにより、富士フイルムHDのBI事業への出資比率を20%未満に下げると、ファンドや競合企業などが資本参加する余地も生まれます。

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