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辞めさせない仕組み作りとは 識者インタビュー

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がん治療後に仕事を再開する人は増えている。今後の課題を識者に聞く。

遠藤源樹 東京女子医科大学 医学部 助教

がんでも使える時短勤務制の義務化を

えんどう・もとき●産業医科大学医学部卒業。産業医としてがん患者の就労を支援。研究テーマは「復職(Return to work)」。2014年から現職。(撮影:今井康一)

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大企業の正社員を対象に2000~11年の12年間にわたって、がん患者1278人(男性1033人、女性245人)の復職実態調査を行った。

この結果わかったことは、がんと診断されて、手術などの治療が始まり働くことができなくなっても、休職後1年以内に約6割の人はフルタイムで復帰しているということだ。がん種によって復職率は異なり、生殖器がん・胃がん・乳がんなどは8割近くと高く、肺がん・肝胆膵がん・食道がんなどは4割を切るなど低かった(→関連記事へ)。

つまり、特に復職率が高いがん種においては、企業が1年待てば3人に2人は元の職場に戻れることが明らかになっている。

もし、企業に長期療養者の時短勤務制度があれば復職率はもっと高くなる。今回の調査で、時短勤務を含めた1年以内の復職率は約8割に上った。復職率が最も高い胃がんでは9割以上、復職率が低い肝胆膵がんでも約5割は時短勤務で1年以内に復帰していた。

今後は中小企業向け調査も

今回の調査では、がん患者が職場復帰する際、産業医に対して「短時間勤務が望ましいか」「フルタイムで復職できるか」を尋ねた。短時間勤務が望ましいと判断された人は、フルタイムに比べて3.5倍に上った。復職時に時短勤務制度が必要な状態だったということだ。

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