がん患者や医療現場は日頃どんな課題に直面しているのか。がん患者や家族の相談に応じているNPO法人「がんと暮らしを考える会」のメンバーに語ってもらった。
──がん患者や家族の相談を受けていて、どんなことを感じますか。
賢見 がんにかかる人の多くは、がんや金融、社会保障制度の知識のないまま、てんやわんやで意思決定を迫られる。仕事を休むことになれば、どうやって生活をするかも考えなければいけない。一度に、限られた時間で、ハードルの高いことを突然突き付けられる。医療、金融、社会保障の3分野のリテラシーが必要だ。
もう一つが申請主義。医療や年金などの制度は、自ら手を挙げないとサービスを受ける権利を行使できない。2人に1人ががんになる時代だというのに、いくつかハードルを越えないと制度が手元に届かないという根本的な問題がある。
40〜50代は子育てや仕事、親の介護など、社会的に役割の多い世代。がんにかかると、その役割の調整がすごく難しい。社会全体が晩婚化し、子育て期も遅く、60〜70歳で親の介護をしている人もいる。がん患者の抱える社会的背景がここ10年で随分変わってきたという印象だ。
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