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「辞めない」「辞めさせない」という決断 治療と仕事の両立

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さわやかな笑顔が印象的な渡部俊さん(撮影:今井康一)

「何だか最近、やけに腰が痛いな」──。ヘリコプターやビジネスジェット機の運航などを行う朝日航洋の営業担当、渡部俊さん(当時30)は、たびたび起こる腰痛が、がんの前兆とは思わなかった。

2012年5月、突然の激しい腹痛に襲われる。最初の診断は腸閉塞。だが内視鏡による精密検査でステージ4の大腸がんと判明し、盲腸や大腸周辺のリンパ節を切除する。抗がん剤治療も勧められた。

「医師からは副作用や効果、薬価などが異なる三つの治療法を提案された。悩んだ末、副作用や負担が中程度の治療法を選んだ」。選択した治療法は、抗がん剤を2週間投与しては1週間休むサイクルを半年間にわたって行うものだ。

会社の有給休暇制度には取得できる日数の限度があり、できるだけ会社を休まずに通院で治療が可能な方法を選んだ。有休を取得できなくなって休職し、収入が途絶えてしまうことを心配したのだ。

実際に治療を始めると、手足のしびれや食欲不振など抗がん剤の副作用が強く、休薬期間の1週間ほどしか出社できなかった。ただ、上司や担当役員らが時差通勤や時短勤務、自宅から近い事業所へのサテライト勤務を認めてくれた。会社の就業規則では育児と介護目的でしか時短勤務は認められないが、がんにも適用してもらうことができたのだ。この柔軟な対応によって、働く意欲を失いかけていた渡部さんは救われた気持ちになった。

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