國頭英夫 日本赤十字社医療センター 化学療法科部長
高額な薬剤や機器を使ったがん治療が増加し、医療界からも「このままではわが国の医療制度は立ち行かなくなる」と懸念する声が上がっている。警告を発する医師の一人が日本赤十字社医療センターの國頭英夫医師だ。

くにとう・ひでお●1961年鳥取県生まれ。86年東京大学医学部卒業。国立がん研究センター中央病院などを経て現職。日本臨床腫瘍学会協議員、日本肺癌学会評議員などを務める。
──この4月、國頭先生が財務省の財政制度等審議会に提出した「試算」が大きな反響を呼んでいます。
ある高価な薬が登場すると、次の薬もそれに引きずられて高値がつき、薬価は倍々ゲームで高騰している。最新の肺がん治療薬「オプジーボ」は、体重60㌔㌘の人が1年間使うと単純計算で3500万円かかる。日本で5万人の肺がん患者が1年間この薬を使うとすると、1兆7500億円かかる。実際にはそこまでの金額にはならないだろうが、そういうポテンシャル(可能性)のある薬がオプジーボ以外にも今後どんどん出てくる。
しかも、この金額は一つの病気に対する一つの薬のものにすぎない。もちろん、病気はがんだけではない。今後薬価改定で価格は下がっていくだろうが、半値になってもまだ高い。その間にも次の薬が出てくる。
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