がんと診断され、仕事を辞めてしまう人は依然3割に達する。
「不治の病」「闘病生活」「苦しい副作用」「髪の毛が抜ける」……。がんに対してそんなイメージを持っている人はいまだに少なくない。
確かにがんは、日本人の死亡原因の第1位で、これは30年以上前からずっと変わらない。一生涯のうちに男性の62%、女性の46%もの人が罹患(りかん)する「国民病」でもある。
だが、近年のがん治療の発展は目覚ましい。入院は最低限にとどめ、通院で治療できるようになった。抗がん剤の副作用を抑える治療法も進化してきた。
がんという病気は不治の病などではなく、糖尿病や高血圧などと同じ慢性疾患という医師もいるほどだ。
がんで再就職した人の 4割は非正規雇用に
それでも、がんと診断された後に職場を去る人が相当な数存在する。静岡県立静岡がんセンターを中心とする「がんの社会学」に関する研究グループの2013年の調査によると、がんと診断されて退職した人は約3割。10年前と何ら変わっていなかった(図1)。
昨年、国立がん研究センターの高橋都医師らが中心となって行った調査で、がんと就労に関する詳細な実態が浮き彫りになった。がんと診断されて会社を辞めた人は約2割で、そのうち約4割の人は「がんの治療が始まる前に」辞めていたのだ。
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