英国のEU離脱問題などで再び揺れ始めた欧州。新著『EU消滅』を公刊した人気著者、浜矩子・同志社大学教授にその行方を聞いた。
Q 浜先生、3月10日に決まったECB(欧州中央銀行)の追加金融緩和策をどう評価しますか。
A これは壮大な3方面作戦です。民間銀行がECBに預ける中央銀行金利のマイナス幅を0.3%から0.4%に拡大するとともに、政策金利をゼロ%に引き下げ、量的緩和で購入する債券の規模は月間600億ユーロから800億ユーロに拡大しました。これだけのことをやるのは、事態をそうとう深刻に受け止めている証拠です。
私は、日本銀行のマイナス金利政策については、日本の公的債務が先進国で最悪の状況にある中で本当は国債の利払いをマイナスにしたいという下心があるのではないかと疑っています。これに対して、ECBはまた違った本音を持っています。彼らの狙いはユーロ消滅の回避です。ユーロという通貨を守るためなら何でもやる。その姿勢が、徹底的な対応につながりました。
Q 最近は欧州景気が悪いというニュースをさほど聞きませんでした。そんなに悪いのですか。
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