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ようやく「定義」が確立された段階の仮想通貨 価値の貯蔵手段になれるのか?

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大規模金融緩和の長期化、声高に語られ始めたヘリコプターマネー政策論など、通貨への信認を揺るがす出来事が続いている。将来、財政破綻型のインフレに万一見舞われたとき、特に打撃を受けるのは、価値(購買力)貯蔵手段としての通貨の機能だ。これは通貨の名目値での償還や利払いが約束されている債券での価値貯蔵にもいえることだ。 通貨は価値の尺度、価値の貯蔵、支払い手段の3つの機能を持つが、ITを駆使し、台頭する仮想通貨もこの3機能を備える。このため、円やドルなどでの価値貯蔵の代替として仮想通貨に注目する人が増えている。だが仮想通貨は技術面などで未知のリスクを抱えている可能性がある。仮想通貨の専門家にその実像を解説してもらった。(編集部)

分散型仮想通貨として最もよく知られるビットコイン(ロイター/アフロ)

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政府は今年3月4日の定例閣議において、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律案」を国会に提出することを決定した。そして、資金決済に関する法律(略称「資金決済法」)の一部を改正し、日本の法律として初めて仮想通貨を条文に定義した。これにより、法的な位置づけがあいまいであった仮想通貨は、条文上の根拠を得ることとなった。

法律上の定義を得たことによって、仮想通貨ビジネスの展開は極めて容易になった。電子商取引の決済メニューとして、仮想通貨を選択することができるようになる。また、仮想通貨の交換業者として登録すれば、仮想通貨の売買、ほかの仮想通貨との交換などを事業として行うことができる。すなわち、仮想通貨には電子マネーのように支払いに利用するという機能と、外国為替のように価格の変動を期待する要素の二つが備わっている。

電子マネーと何が違うのか

では、仮想通貨は電子マネーなどの決済手段と比較して、どこが共通していて、どこが特殊なのであろうか。仮想通貨の性質を一言で表すことは難しいが、改正法の条文は情報量が豊富であって、理解の手助けとなりそうである。資金決済法改正案からキーワードを取り出し、図を見ながら読み解いてみたい。

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