「トランプ大統領」でどうなる 講義3 越智道雄の米国論

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泡沫候補とみられていたドナルド・トランプが想定外の大躍進。これは世界経済にとっても巨大なリスクだ。越智道雄・明治大学名誉教授に聞いた。

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Q 越智先生、トランプ候補は「ポリティカルコレクトネス(PC)」を批判していますね。

A 米国人は祖父母の代までさかのぼれば移民である場合が多く、先発移民ほど後発移民を差別する傾向があります。この公式が当てはまらないのが奴隷とその子孫です。リンカーンによる奴隷解放後も差別は固着し、黒人は1950年代にあらためて自前の公民権運動を起こさねばなりませんでした。

差別是正のために左派白人判事らの取った過激な政策の一つが「アファーマティブアクション」です。有色人種や女性を進学・就職・昇格などで優遇する措置で、結果的に黒人と女性の社会進出を助け、黒人を「アフリカ系米国人」と呼ぶなど差別語の是正も進行しました。こうした有色人種や女性などの差別表現を是正することをPCと呼びます。

Q PC批判がなぜ支持拡大につながるのですか。

A そもそもトランプ以前から、PCや公民権運動に反発する差別的で旧弊な右派を積極的に取り込んできたのがニクソン以後の共和党です。レーガン以降はこれらの支持層をひたすら負の方向へ過激化させていきました。たとえばレーガンは、生活保護を受けながらぜいたくな生活を送っている人がいるという話を作り、「福祉の女王」と呼んで糾弾しましたが、それは「福祉で太った黒人」を指していました。このような差別の隠語を使う手立ては、犬にしか聞こえない音を出す犬笛に例えられて「犬笛政治」と呼ばれましたが、差別的な白人はレーガンの発言に喝采したのです。

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