最新刊『円安待望論の罠』で、野口悠紀雄・早稲田大学顧問は日本人の円安依存に警鐘を鳴らしている。
Q 野口先生、まず事実認識として、多くの人はアベノミクスで円安が進んだと思っています。
A 円安が始まったのは第2次安倍晋三政権が発足する前の2012年の秋ごろのことです。特に対ユーロでは12年夏ごろからユーロ高が進み、12年12月に安倍政権が発足したときにはかなり円安となっていました。民主党政権が続いていたとしても、同じように円安が進んでいた可能性があります。
円安が進んだのは、12年夏にECB(欧州中央銀行)のマリオ・ドラギ総裁が「ユーロ圏を守るために何でもやる」と述べたことがきっかけでした。ドラギ発言後、ユーロ危機は一応沈静化しました。
その後、さらに円安が進みました。安倍政権が金融緩和を行い、円安誘導的な行動を取ることが明らかだったので投機が起きたのです。また、FRB(米国連邦準備制度理事会)が金融緩和を停止すると示唆したことも円安を後押ししました。
私が投機だという論拠は、この間、日米の金利差はほとんど変化しなかったことにあります。05年ごろから円安が進行したときには、日米金利差(2年物)は4%以上拡大しました。しかし今回、金利差はほとんど変化しませんでした。金利差が変化していないのに円安が進んだのは、投機の影響だといえます。
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