「高齢者が得して若者が損する世代間格差」「今のシニアは逃げ切り世代」──。今も扇情的な報道が週刊誌などでは後を絶たない。だが、公的年金の世代間格差なるものの正体とは何だろうか。
これらの報道で使われるのが給付負担倍率という数値で、現役時代に納付した保険料合計に対し、いくらの給付を受けられるかの倍率を世代別に示したもの。厚生労働省は「このような数値の試算のみで世代間格差を議論したり、年金の損得を判断したりできるものではない」と反論しながらも、一部のメディアや政治家の公表圧力を受けて給付負担倍率の試算を渋々行っている。
2015年の試算値では、昨年75歳の人は保険料負担の5・2倍の給付が受けられ、以下、60歳3.4倍、50歳2.8倍、40歳2.4倍、30・20歳2.3倍となっている。
この数値の前提となる考え方は、公的年金が貯蓄性金融商品(積立貯蓄)であるということだ。本当に積立貯蓄なら5.2倍や2.3倍などの数値は金融商品のリターン(収益率)に相当するため、それで損得を論じることはできるだろう。
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