「裁判では『自分が悪い』となった。犯人にされたような気持ち。本当はもう考えたくない」。都内で独り暮らしをする80代の女性は本誌の取材に対してそう話した。
今年1月、東京地方裁判所である投資詐欺をめぐる訴訟の判決が下された。訴えたのは冒頭の女性。三菱東京UFJ銀行の行員らに勧められた投資話で3億8000万円の損害を被ったとして、同行と行員に同額の損害賠償を求めたのだ。地裁判決は女性の敗訴となり、2月に控訴した。この訴訟の詳細を知ることは高齢者の投資トラブルを回避するうえで役に立つはずだ。特に高齢で独り暮らしの親を持つ場合は十分に気をつけたほうがいい。
女性の身に何が起きたか順を追って見ていこう。なお本誌取材に三菱東京UFJ銀行は「訴訟中につき回答は差し控えさせて頂く」としている。随時記す銀行側の主張は同行が裁判に提出した資料に基づく。
損を取り戻すはずが、投資詐欺の深みに
2011年1月中旬。当時70代だった女性は三菱東京UFJ銀行の浜松町支店(現在は新橋支店に統合)を訪れた。07年に夫を亡くし10億円超の遺産を相続していた。この日は定期預金や投資信託など「何かよいものがあれば手続きをしようと思って」支店に向かった。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら