仕手筋はなぜ消えたのか?
かつて「相場の花」と呼ばれた仕手筋が存在感を失って久しい。
「仕手株」という言葉が死語になりつつある。背景には、証券会社を通じた監視強化と、ネット取引普及による投資家層の広がりがある。
仕手とは「主役」を意味する能や狂言の用語。特定の人物が意のままに操る仕手株はしばしば理屈を超えて急騰し、「相場の花」ともいわれたものだが、最近は仕手集団そのものが姿を消しつつある。証券会社の協力を得にくくなったことが大きな理由だ。
大引け間際の大量買いなど不自然な注文を繰り返す投資家には、まず東京証券取引所の売買監視部門の目が注がれる。怪しい取引があると、東証はすぐに証券会社に照会し、過去の売買履歴を調べ上げる。顧客の不正を知りながら注文を受ける証券会社は「管理体制に問題あり」として行政処分の対象となる。
このため、証券会社は東証からチェックが入ると、その顧客の株売買から出入金までを逐一監視することになる。営業停止処分を受けると元も子もないので、証券会社にとって仕手筋は得意先ではなく、「招かれざる客」なのだ。「怪しい注文が入るたびに顧客へ電話すると、こちらから口座解約を言い出すまでもなく、売買をやめるケースがほとんどだ」(インターネット証券会社)という。
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