トリシェECB(欧州中央銀行)総裁は、深いジレンマに陥っている。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題発の金融市場の不透明感と、根強いインフレリスクという両極端な圧力に挟まれ、息の抜けない金融政策運営が欧州経済に求められるからだ。
11月8日の定例理事会では議論の末に政策金利(レポ金利)を4%に据え置いたが、トリシェ総裁は直後の記者会見で「金融政策は物価の上振れリスクを打ち消す用意がある」と発言。インフレファイターとして、いつでも利上げを再開できることをあえて示唆した。
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